コラム

障がい福祉サービスの種類とは?町田市の行政書士がわかりやすく解説

はじめに

障がい福祉施設を運営するためには、行政から「指定」を受けることが必要です。この指定を取得するための「障がい福祉施設指定申請」は、事業開始において非常に重要なステップとなります。特に、申請時に求められる「サービスの種類」について正確に理解し、適切に対応することが成功への鍵です。

しかし、多くの事業者様にとって、この申請は初めて経験するものであり、その複雑さに戸惑うケースが少なくありません。どのサービスを提供するのか、またそのサービスが自治体の基準に合致しているのかなど、確認すべきポイントは多岐にわたります。
こうしたプロセスをクリアするためには、正確な知識だけでなく、各種要件を確実に満たす準備が必要です。

本記事では、障がい福祉サービスの中でも一般的なサービスに焦点を当て、行政書士の視点から、障がい福祉施設の指定申請において押さえるべき「サービスの種類」について解説します。

これから申請を検討している方、あるいは準備中の方に向けて、役立つ情報をご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。


障がい福祉施設指定申請での主なサービスの種類と特徴

障がい福祉施設で提供される一般的なサービスを「特徴」「サービス内容」「対象者」という形式で簡潔に解説します。

今回の記事で解説していないサービスの種類などについては厚生労働省HPを参照ください。


居宅介護(ホームヘルプサービス)

特徴
居宅介護は、利用者が自宅で自立した生活を送れるよう、訪問ヘルパーが日常生活を支援するサービスです。

サービス内容
・日常生活介護: 入浴、排せつ、食事など、日常生活に必要な身体的な介護。
家事援助: 食事の準備、掃除、洗濯など、日常生活を維持するための家事支援を提供。
通院等乗降介助: 通院時の移動や乗降のサポート。

サービスの対象者
障害支援区分1以上の認定を受けた人(区分0の場合は対象外)。
原則65歳未満の人(65歳以上の場合は介護保険が優先。ただし特例あり)。
障がい児


重度訪問介護

特徴
重度訪問介護は、重度の身体障がいや知的障がいがある方に対し、日常生活全般を長時間支援するサービスです。

サービス内容
・日常生活介護:
入浴、排せつ、食事など、日常生活に必要な身体的な介護。
家事援助: 食事の準備、掃除、洗濯など、日常生活を維持するための家事支援を提供。
・外出支援: 通院や買い物など、外出時の移動や付き添いをサポート。
見守り支援: 利用者の安全を確保するため、必要に応じて見守りや声かけを行います。
・意思疎通の補助: コミュニケーションが困難な場合の支援。

サービスの対象者
障害支援区分4以上で、以下の①、②のいずれかに該当する方。
①以下の⑴⑵のいずれにも該当する方。
⑴二肢以上に麻痺等があること。
⑵障がい支援区分の認定調査項目のうち「歩行」「移乗」「排尿」「排便」のいずれも「支援が不要」以外と認定されていること。
②障害支援区分の認定調査項目のうち行動関連項目等(12項目)の合計点数が10点以上であること。
原則65歳未満の人(65歳以上の場合は介護保険が優先。ただし特例あり)。

基準と注意点
長時間支援の計画: 利用者の状況に応じた詳細な支援計画を作成します。
人員体制: シフト調整を含め、十分な人数のスタッフを配置します。
緊急対応の整備: トラブルや急病に対応できる体制を整える必要があります。


短期入所(ショートステイ)

特徴
短期入所は、短期間施設に滞在し、日常生活の支援を受けるサービスです。
自宅で介護をおこなっている人が病気や怪我、冠婚葬祭、急な用事、仕事などで一時的に介護ができなくなった場合や介護を行っている人の休息のために利用されます。
福祉型(障がい者支援施設等で実施可能)と医療型(病院、診療所、介護老人保健施設等で実施可能)に大別され、事業形態としては併設型、空床利用型、単独型に分けられます。

サービス内容
・日常生活介護: 入浴、排せつ、食事など、日常生活に必要な身体的な介護。
医療ケア(医療型の場合): 看護師による健康管理や投薬、点滴などの医療支援。
余暇活動: レクリエーションや趣味活動の提供。

サービスの対象者
福祉型ショートステイ
障害支援区分1以上の認定を受けた人(区分0の場合は対象外)。
・障がい児のうち、障害の程度が厚生労働大臣の定める区分1以上に該当する障がい児。

医療型ショートステイ
・遷延性意識障がい児・者、筋萎縮性側索硬化症等の運動ニューロン疾患の分類に属する疾患を有する者及び重症心身障がい児・者等


就労支援(就労移行支援、A型・B型)

特徴
就労支援は、障がいをある方が社会参加や経済的自立を目指すためのサービスです。

サービス内容
・就労移行支援: 一般企業等での就労を目指し、職業訓練やサポートを提供。
・就労継続支援A型: 雇用契約を結び、給与を支払いながら働く場を提供。
・就労継続支援B型: 雇用契約なしで、工賃(作業に対する報酬)を支払いながら個々のペースに合わせた作業訓練を実施。

サービスの対象者
・就労移行支援: 一般企業等での就労を目指し、訓練や支援が必要な人。原則18歳から65歳未満の方。

・就労継続支援A型: 一般企業等での雇用が難しいが、雇用契約に基づいて働ける人。原則18歳から65歳未満の方。
具体的には以下のような例があげられます。
①就労移行支援を利用したが、企業等の雇用に結びつかなった方。
②特別支援学校を卒業して就職活動を行ったが、企業等の雇用に結びつかなった方。
③企業等を離職したなど就労経験がある方で、現に雇用関係がない方。

・就労継続支援B型: 雇用契約を結ぶことが難しく、柔軟な働き方が必要な人。
具体的には以下のような例があげられます。
①就労経験があるが、年齢や体力面で一般企業に雇用されることが困難になった方。
②50歳に達している方または障害基礎年金の1級受給者。
③上記①②のいずれにも該当しない方で、就労移行支援事業者等によるアセスメントにより就労継続支援B型のサービスをうけることが妥当と判断された方。


生活介護

特徴
生活介護は、障がいがある方が日中を安全に過ごせるよう、生活支援や機能訓練を提供するサービスです。

サービス内容
・日常生活介護: 入浴、排せつ、食事など、日常生活に必要な身体的な介護。
家事支援: 食事の準備、掃除、洗濯など、日常生活を維持するための家事支援を提供。
創作的活動や生産活動の機会の提供: 利用者の興味や能力に応じて、創作活動や生産活動の場を提供。
・機能訓練: 健康維持や生活の質を向上させる運動や訓練を実施。

対象者
障害支援区分3以上(障がい者支援施設等に入所する場合は区分4以上)の認定を受けた人。
・年齢が50歳以上の場合は、障害支援区分2以上(障がい者支援施設等に入所する場合は区分3以上)の認定を受けた人。
・生活介護と施設入所支援との利用の組合わせを希望する人で、障がい支援区分4(50歳以上の場合は区分3)より低い者で、指定特定相談支援事業者によるサービス等利用計画案を作成する手続きを経て、市町村により利用の組合わせの必要性が認められた人


共同生活援助(グループホーム)

特徴
共同生活援助(グループホーム)は、少人数の共同生活を通じて障がいがある方が地域で自立した生活を目指すために主に夜間においてサービスを提供します。また、サービスの提供方法により以下の3種類に分けられます。

介護サービス包括型: 共同生活援助(グループホーム)の3種類の中で一般的なタイプになります。主に夜間に日常生活上のサポートや介護サービスをグループホームの世話人や生活支援員が行います。

日中サービス支援型: 利用者は比較的重度の障がいがある方が多く、日中夜間を通して日常生活上のサポートや介護サービスをグループホームの世話人や生活支援員が行います。

外部サービス利用型: 主に夜間、日常生活上のサポートはグループホームの世話人が行い、介護サービスは外部の委託した居宅介護事業所から派遣された介護スタッフが行います。

サービス内容
・日常生活援助: 入浴、排せつ、食事など、日常生活に必要な介護や支援。
家事支援: 食事の準備、掃除、洗濯など、日常生活を維持するための家事支援を提供。
・相談支援: 生活上の悩みや課題についての相談に応じ、必要な助言やサポートを提供。
・緊急対応: 夜間や休日を含むトラブルへの対応。

対象者
障害のある方(障害者総合支援法に基づく支援を必要とする方)
・身体障がい者の方の場合は65歳未満の者または65歳に達する日の前日までに障がい福祉サービス若しくはこれに準ずるサービスを利用した人に限られます。


まとめ

障がい福祉施設指定申請で重要な「サービスの種類」について解説してきました。運営におけるサービス選びは、地域のニーズ、運営側のリソース、法令遵守、利用者視点、差別化、長期的視点を総合的に考慮することが重要です。成功するためには、提供するサービスの目的や基準をしっかり理解し、適切な準備を進めることが欠かせません。これにより、利用者にとって魅力的で、地域社会に貢献できる施設運営が可能となります。

障がい福祉施設指定申請は複雑で、時間がかかる作業です。行政書士に依頼することで、書類作成や基準確認などの負担を軽減し、スムーズに申請を進めることが可能です。ぜひ専門家のサポートを活用してください。


ご相談は当事務所へ

当事務所では、以下のサービスの障がい福祉施設指定のサポートを行っています。

  • 就労継続支援B型
  • 共同生活援助(グループホーム)

障がい福祉施設指定申請を成功させるには、各サービスの基準や要件を十分に理解し、適切に対応することが重要です。
行政書士として、これらのプロセスを正確にサポートし、事業者の不安を解消するためのご相談もお受けしています。

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