コラム
10.72023
自筆証書遺言書保管制度のメリットデメリットを解説
目次
自筆証書遺言書保管制度とは?
2018年7月の民法改正に伴い、「法務局における遺言書の保管等に関する法律(遺言書保管法)」が制定され、2020年7月10日から法務局で自筆証書遺言を預かってもらえる遺言書保管制度が開始されました。
制度スタートから約3年経ちますが、知らない方もいらっしゃると思いますので丁寧に解説します。
簡単にいうと法務局で自筆証書遺言を原本に加え画像データとしても長期間適正に保管管理してくれる制度です。
管理期間は原本が遺言者死亡後50年間、画像データは遺言者死亡後150年間になります。
よって、制度ができるまでは自筆証書遺言をのこしておいても紛失したり、ご遺族が気づかなかったり、書き換えられるリスクがありましたが、制度を利用することによりリスクを回避することが可能になりました。
自筆証書遺言書保管制度を利用するメリット
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遺言書の紛失、改ざん、隠匿のおそれがない
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家庭裁判所の検認手続きが不要になる
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公正証書遺言と比較すると費用が抑えられる
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遺言書が保管されていることが通知される仕組みがある
- 遺言書の紛失、改ざん、隠匿のおそれがない
法務局で適正に管理されることにより紛失のおそれがありません。
また、相続人等の利害関係者による遺言書の破棄、隠匿、改ざん等を防ぐことができます。 - 家庭裁判所の検認手続きが不要になる
自筆証書遺言保管制度を利用しない通常の自筆証書遺言の場合、遺言書が見つかったら、民法によって家庭裁判所に検認を請求することが規定されています。検認の手続きには時間と手間がかかるため相続人に負担がかかります。保管制度を利用することにより相続人の負担を和らげることができます。 - 公正証書遺言と比較すると費用が抑えられる
公正証書遺言は、相続財産の価額により異なりますが概ね数万円の公証人手数料がかかります。自筆証書遺言を作成して自筆証書遺言保管制度を利用すれば、法務局に支払う手数料が3,900円のみになります。 - 遺言書が保管されていることが通知される仕組みがある
自筆証書遺言保管制度の最終的な目的は、遺言者死亡後に相続人に遺言書の内容を知ってもらうことになります。そこで、一定の条件のもと遺言書を保管していることをお知らせする仕組みが2つあります。
・遺言者の死亡後に相続人が(1)遺言書を閲覧もしくは(2)遺言書情報証明書の交付を受けたときに、他の全ての相続人に通知される
・遺言書保管官が遺言者の死亡を確認した場合、あらかじめ遺言者が指定した方(3名まで指定可)に通知される(手続きが必要)
自筆証書遺言書保管制度を利用するデメリット
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遺言者本人が法務局に出向き手続きする必要がある
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遺言書の内容についてチェックしてくれない
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遺言書の様式等に細かいルールがある
- 遺言者本人が法務局に出向き手続きする必要がある
遺言書の保管申請ができるのは遺言者本人のみで、代理人による申請はすることができません。ご家族が代理することも認められていないのです。よって外出するのが困難な場合は、保管制度を利用することを諦めざるを得なくなります。 - 遺言書の内容についてチェックしてくれない
法務局では自筆証書遺言の形式のチェックはしますが、遺言書の内容のチェックはしてくれません。よって遺言書の内容に問題がある場合でも、指摘してくれることはありません。また内容について相談することもできません。 - 遺言書の様式等に細かいルールがある
自筆証書遺言は民法によって様式が定められています。更に保管制度を利用するには本制度において求められている様式等を守ったものでなければなりません。
場合によっては書き直さなければいけなくなるケースもあります。
自筆証書遺言保管制度はどんな人におすすめ?
自筆証書遺言保管制度はご自身で遺言書の作成を考えられており、作成した遺言書を安全適切に保管したいと考えられている方におすすめです。
ただし、デメリットの部分でも触れましたが遺言書の内容までチェックしてくれないので、遺言書の内容に不備があった場合は、遺言書が無効になってしまうリスクがあります。
無効になるのを防ぐためにも専門家に相談することをおすすめいたします。
ご相談は当事務所へ
ここまで、自筆証書遺言保管制度のメリット、デメリットをまじえて解説しましたがもっと詳しく知りたい方や遺言書作成にお悩みの方はお気軽にご相談ください。